ブロックチェーン・エンジニアとは、ブロックチェーンを活用したシステムやアプリケーションの設計や開発、またブロックチェーンの運用や管理を行う職業です。
ブロックチェーンを活用したシステムやアプリケーションの設計や開発、また運用や管理を行う。ブロックチェーンとはネット上の仮想通貨を始めとする様々な取引をブロックとしてまとめ、そのブロックを一連のチェーンとし、それを多くのコンピュータ(ノード)で情報を共有することによって、改ざんが行えないようにする仕組みである(「分散型台帳」とも呼ばれる)。それまでは厳重に管理されたサーバで取引を一元管理し、それによって取引を保証していたが、ブロックチェーンによりノードによって相互に検証を行ない、一連のつながったチェーンが形成されることから、改ざんができず、取引内容が保証される。
ブロックチェーンの技術はBitcoinなどの仮想通貨(暗号資産)で用いられているが、NFT(非代替性トークン)によるデジタルアートやゲームアイテムの所有証明、食料品の流通経路や二酸化炭素取引の証明、診療記録の証明、電子投票、等々に活用が広がることが期待されている。インターネットはもっぱら情報を提供するWeb1.0、情報を相互に提供するWeb2.0と発展してきた。これに続くWeb3.0では、価値(仮想通貨、デジタルアート、等々)の取引をネットで行うため、ブロックチェーンはそれを支える重要な技術となっている。
ブロックチェーン・エンジニアの具体的な仕事としては、まず、スマートコントラクトの開発がある。ブロックチェーンの各プラットフォーム上で動くプログラム(スマートコントラクト)を開発言語によって作成する。もう一つの仕事として、分散型アプリケーション(DApps)の開発がある。スマートコントラクトと連携したユーザーが利用するアプリケーションの開発を行う。それ以外に、ブロックチェーンでのシステムの設計や構築を行うこともあり、既存のネットワークを用いてシステムを設計、構築したり、独自のブロックチェーン上にシステムを設計、構築したりする。また、ブロックチェーンを活用したシステムの監視や管理を行ったり、ブロックチェーンに関するコンサルティングを行うこともある。
開発ではどのようなシステムを構築するかの検討から始める。もしシステム開発においてブロックチェーンを利用する必要がない場合は、ブロックチェーンを使わない開発に進むことになる。
開発では開発リーダー、エンジニア、プログラマーなど、4~6人で開発することが多い。開発では定期的にミーティングを行うが、リモートで開発に参加することもある。開発では情報共有や進捗管理にコラボレーション・ツール(Slack他)が用いられる。
開発に用いられる言語や環境等は他のシステム開発と変わらない。情報の改ざん防止にブロックチェーンが適していればブロックチェーンの技術が利用され、開発が進められる。
<就業希望者へのメッセージ>
よくもわるくも新しい技術です。自身の行動に応じて動くもののサイズが大きい印象です。多少大げさに言うと歴史が変わるタイミングに立ち会える回数が多いです。歴史が浅いがゆえに可能性が大きいので、普及していく過程に貢献できたらいいと思います。(就業者 20代)
変化が速く奥行きが深い領域です。技術のキャッチアップは大変で常に勉強が必要ですがそれに見合ったやりがいがあります。ブロックチェーンの技術で解決できる社会問題は多いと思います。(就業者 50代)
◇よく使う道具、機材、情報技術等
開発言語、開発環境、コラボレーションツール(Slack他) 、パソコン、スマートフォン
ブロックチェーンの基本的な仕組みが論文によって提案されたのが2008年であり、2009年にブロックチェーンを活用したBitcoinが登場している。このように最近の技術のため、現在、ブロックチェーン・エンジニアとして活躍している人は、それまで他のシステム開発等に携わっていた人という人が多い。最近は、大学生、大学院生がインターンシップなどを経験し、ブロックチェーン・エンジニアとなることも増えている。
入職にあたって、特定の資格等は必要とされないが、他のシステム開発等に携わっていた人がブロックチェーンに興味を持ち、ブロックチェーン・エンジニアになることが多い。学卒者では大学等でコンピュータ関係を学んできた者が、長期インターンとしてブロックチェーンの開発に携わり、その後、その会社に採用されることも少なくない。ブロックチェーンなどの新しい技術に興味があり、学生時代から開発を行い、自分でスキルを身に着け、実力が認められて開発に参加したり、開発を任されることもある。大手IT企業にエンジニアとして新卒採用され、その中からブロックチェーンの開発担当となることもある。
ブロックチェーンの技術は公開されており、そのような情報を自分で学び、開発経験を積んでいく。最初は部分的な小規模の開発を任され、2、3年経つと第一線で活躍するエンジニアになる。興味を持って自発的に知識を吸収していくことが求められ、開発はチームで行うことからチームワークも求められる。
技術は日々、新しくなっており、ブロックチェーンの大規模な集まりに対面で参加し、新しい技術を吸収する。ネットからの情報収集も重要であるが、国内外で年に何回か開催され、数千人集まるコンベンション等に対面で参加することが多い。
開発の中で、金融商品取引法、資金決済法、景品表示法などが関係することがあり、会社として開発の途中で弁護士に相談することもある。暗号資産を扱っている会社では、セキュリティに細心の注意を払っている。セキュリティに問題があったり、不注意な行動があると会社の多額の暗号資産が失われることになる。
ブロックチェーンを用いた開発を専門的に行う会社(ベンチャー企業)に勤めていたり、大手IT企業でブロックチェーン開発担当になって働いている。専門的な会社では人の移動が比較的多く、会社を渡り歩いて開発を続けている人がいる。特定の会社に属さず、複数の開発に携わる人もいる。開発実績を積み自分で会社を始める人もいる。
リモートワークが定着しており、遠方から開発に参加していたり、中にはオフショアとして海外から開発を行っている人もいる。
就業者は男性がほとんどであり、年齢としては、40歳代前後のベテランと大学院生等がインターンとして働いている場合が多い。
開発によって得られる利益とともに仮想通貨の運用で利益を上げている会社もある。このような場合、ブロックチェーン・エンジニアは運用について相談にのったり、システム面から問題がないか確認を求められる。
ブロックチェーンは世間から注目され、開発が盛んな時期と、開発がやや下火になる時期がある。社会に広く定着するためにはこれからも処理速度や稼働の安定性など、様々な技術革新が必要であるが、価値の取引が行われるWeb3.0を支える重要な技術である。また、今後、AI(人工知能)が価値(仮想通貨、株式等)を扱うようになると、その取引をトレースしたり、価値を保証するためにもブロックチェーンの技術が必要となる。現在の技術的な問題点は少しずつ解決され、ブロックチェーンは広がっていくと考えられる。今日、話題になっている価格が安定したステーブルコインが広がると、ブロックチェーンが一気に普及するとも考えられる。