データの整理と評価プロセス
556 職業をどう整え、AIOIS-10 標準でどう採点したか
本サイトの基礎データは、すべて公開されている公的情報です。AI 影響スコアのみが独自分析で、AIOIS-10 標準に基づいて算出しています。基準そのものの定義は AIOIS-10 標準、ここでは①データの整理と②評価の手順を説明します。
1.データソース
2.データの整理
各職業は、職務記述(概要・仕事内容・就労条件)に加え、O*NET 型の数値ベクトルを持ちます。これらは「この仕事は何を要するか」を 0–5 の強度で表したものです。
skills(スキル) — 39 指標 0–5。読解・批判的思考・プログラミング・判断など。
knowledge(知識) — 33 指標。医学・法律・コンピュータ・デザイン等の領域知識。
abilities(能力) — 34 指標。手先の細かさ・指の器用さ・発想力など、体と頭の力。
work_characteristics(仕事の特性) — 39 指標。反復性・機械ペース・対面・裁量・結果責任・感染リスク等。
interests(興味 RIASEC) — 6 指標。現実的・研究的・芸術的・社会的・企業的・慣習的。
work_activities(仕事の活動) — 41 指標。情報処理・コンピュータ作業・記録・対人援助など。
work_values(仕事の価値観) — 11 指標。達成・自律・専門性・ワークライフバランス等。
さらに各職業を 16 の産業セクターに分類し、年収・有効求人倍率などの労働統計を id で突合しました。スコアの履歴は追記のみ(上書き・削除なし)のバッチファイルで保持し、最新の採点日のものを現在値として採用します。
3.評価プロセス(AIOIS-10 の適用)
ただの統計でも、ただの勘でもありません。AIOIS-10 の 10 次元すべてを AI(言語モデル)が職務記述から判定し、2 つの指数は決まった式で算出します。Eloundou ら(2023)が GPT-4 に「O*NET の作業を AI がどこまでできるか」を判定させた手法の系譜で、判定対象を 10 次元に広げたものです。
研究上の近い参照点は、Frey & Osborne (2013) の職業単位の computerisation susceptibility、Eloundou et al. (2023) の GPT/LLM task exposure、Acemoglu & Restrepo (2019) の displacement / reinstatement のタスク枠組みです。AIOIS-10 は exposure だけで終わらせず、D3〜D7 の human moat、D8 の導入費用対効果、D9 の日本固有の需給・制度摩擦を通して、変化の大きさと仕事が減るリスクを別々に出します。
4.スコア帯の代表例
トップ指標「AI 影響(変化の大きさ)」0〜10 の各帯のイメージとして、代表的な職業を挙げます(2026 年・AIOIS-10 版)。
| スコア | 代表例 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 前後 | 潜水士・花火師 | 体を使う現場の仕事。AI もロボットも届きにくい |
| 2 前後 | 美容師・家政婦・学童保育指導員 | 手仕事と対面の関係が中核 |
| 3 前後 | 看護師・バーテンダー・訪問介護 | 身体ケア・対面が中心。AI 補助はできるが置きかえ不可 |
| 4 前後 | スーパー店長・建築設計技術者 | AI が下書きや分析を助けるが、現場の判断は人 |
| 5 前後 | 薬剤師・臨床検査技師 | 定型部分の自動化が進むが、資格と手技が残る |
| 6 前後 | 公認会計士・人事事務 | AI が作業の多くを担うが、責任と確認は人 |
| 7 前後 | プログラマー・コールセンター | PC で完結する中核業務を AI が直接担える |
| 8 前後 | 一般事務・医療事務 | 規程・点数表どおりの定型処理は AI でほぼ完結 |
| 9 前後 | データ入力 | ほぼすべてが AI で片づく(最高は 9.5) |
5.校正と検証
新しいモデルでの再採点は、いきなり全量を置きかえません。まず代表 40 職業(高・中・低の各帯、現場・知識・対人・管理の各タイプを網羅し、データ入力・翻訳者・会計士・プログラマー・経営者・外科医・看護師・介護員・林業ほかの校正例を含む)で試験採点し、前回 batch との drift(平均のずれ・帯の移動・順位変動)を監査・人手レビューしてから全量に進みます。今回(Claude Fable 5、2026-06-13 採点)の全量 556 職業は、前回(Claude Opus 4.8、2026-05-30)比で変化の大きさの平均差 −0.07。スコア履歴は追記のみで、過去の batch はすべて保存されています。
クロスモデル検証(外部整合性)
本サイトの AIOIS-10 スコアは Claude Fable 5 による判定だが、妥当性を確かめるため、代表 40 職業について Claude Opus 4.8 と Claude Sonnet 4.6 にも同一の AIOIS-10 ルーブリックで独立に(既存スコアを見せずに)採点させ、一致度を測定した。結果、3 モデルの「変化の大きさ」指数はモデル間相関 r=0.92〜0.97、平均の開きは約 1.0/10、95%(38/40 職業)が 2 点以内で一致した。Fable 5 のスコアとの平均絶対差は Opus 4.8 で 0.6、Sonnet 4.6 で 0.6 点で、Fable 5 は他 2 モデルのほぼ中央に位置し系統的な偏りは見られなかった。
限界:本検証は代表 40 職業(全 556 ではない)に対するもので、Opus/Sonnet は Claude Code 上、Fable 5 は本番バッチで採点(ルーブリックは同一)。本番スコアに多モデル consensus を採用したものではなく、単一モデルスコアの外部整合性チェックである。
6.本手法の限界
- AI の判断を含みます。10 次元の判定は Claude Fable 5 一台によるもの。別の AI・別の時点なら ±1〜2 ずれることがあります(モデル更新時は前回 batch との drift を監査します)。
- 統計検証はしていません。人間専門家との一致率は未測定。「実証研究」ではなく「校正済みの見立て」です。
- 単一時点のスナップショット(2026-06-13、現行 AI フロンティア)。能力進化で賞味期限は約 1 年。
- 556 職業のみ。jobtag 未収録の新興職種(プロンプトエンジニア等)は対象外。
- 日本版です。D9 は日本の労働市場(有効求人倍率)前提。海外の同名職には当てはめないでください。
- 個別の業務差を反映できない。同じ「医師」でも科目で実態は大きく異なります。
7.使用上の注意
本スコアはキャリア選択の参考情報の一つです。次のような利用は推奨しません。
- 本スコアだけで採用・昇進を判断する
- 個別の事業所の AI 化進捗を予測する
- 政策決定の根拠とする
- 個人のスキル評価に転用する
本サイトは非公式です。厚労省・JILPT 等と提携・承認関係にありません。スコア・分類・可視化は独自の分析であり、公式見解ではありません。基準の定義は AIOIS-10 標準、出典・FAQ・用語は データについて を参照してください。