ピアノ調律師とは、ピアノの構造や性質等を踏まえピアノの音の調節を行う職業です。
ピアノの構造や性質等を踏まえピアノの音の調節を行う。音程や音色、ピアノのつくりや機能などを熟知している調律師は、ピアノの医者であり、メカニックといえる。
ピアノはとても複雑でデリケートな楽器であり、他の楽器のように演奏者自身が音の調節を行うことは困難であるため、ピアノ調律師が調整を行う。
演奏家を担当する調律師は、正確な調律だけではなく、演奏者の希望を把握した上でそれに沿った音色に仕上げていく。
音楽的な原理に基づいて基本的な音程をつくる「調律」では、チューニングハンマーで弦を締めたり緩めたりしながら、一音ずつ全ての弦を調律していく。チューニングフォーク(音叉)の音にぴったり合わせたり、和音をつくったりしながら、耳を頼りに作業を進める。他にも、楽器を弾きやすく、よく揃った状態に仕上げる「整調」やイメージどおりの微妙な音色をつくりだす「整音」という作業も行う。
ピアノの修理もピアノ調律師の仕事である。また、防音や騒音防止、温度や湿度の管理について、ピアノを使っている人の相談にのったり、アドバイスもする。
◇ よく使う道具、機材、情報技術等
チューニングハンマー、チューニングフォーク
入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされないが、ピアノメーカーなどに付属する養成機関や専門学校、音楽大学の調律科などに入り、必要な知識や技術を学んでいる者が多い。調律師の養成機関に入学する条件として、音に対する感覚がすぐれていること、指が1オクターブの鍵盤に届くことなどが必要とされる。他に、学科試験や適性検査がある。養成期間は1~2年、専門課程も含めると1~4年である。入職後実務経験を積み「ピアノ調律技能士」を取得することで顧客の信頼を得ることができる。
また、調律師になる人の中には、ピアノ製造会社の社員として、ピアノの設計、組立、整調、整音の工程で基礎技術を身につける人もいる。
ピアノを使っている人に、手入れ、温度・湿度の管理などについて、経験に基づきアドバイスができるようになるには、少なくとも5年はかかるとされる。
ピアノ調律師の頂点はコンサートチューナーと呼ばれる調律師である。ピアニストのパートナーとして、コンサート用のグランドピアノの調律を行う、最高の技術を持つ調律師である。
ピアノ調律師の数について正確なデータはないが、会社に所属している調律師や自営業者、フリーを合わせて10,000人程度と見られる。日本ピアノ調律師協会では入会に際して資格審査を行っており、これに合格し、協会から認定されている調律師は現在約2,500人である。このうち3割以上はピアノ製造会社や販売会社に所属している。女性の調律師は少なかったが、増えてきている(*)。
湿度や温度がコントロールされた調律室や、完全に防音された実習室での作業が中心であるが、一般家庭の調律に出向くこともある。
企業に所属している調律師の場合、全国の営業所やサービスセンターなどへ転勤するケースがある。待遇や労働条件、賃金は所属企業の規定に準ずるが、技能の習熟度や能力に対する技能評価を考慮されることもある。高度な技術を維持するため、定期的な社内研修も行われる。
自営業の場合、高い技能だけでなく知名度や経験も収入に影響する。顧客数や依頼される内容によって労働時間も収入も変化する。また、一般顧客の場合、引越や、ピアノ練習の中断などもあり、収入は必ずしも安定しない。そのため顧客から新しい仕事の紹介を受けたり、ピアノ販売を行う者もいる。
*一般社団法人日本ピアノ調律師協会、ピアノ調律師になるために
業界をまたいで、AI 影響度が同水準の代表職業(規模順)。