半導体技術者とは、半導体の製造プロセスの開発を行ったり、半導体デバイスの設計開発を行う職業です。
半導体の製造プロセスの開発を行ったり、半導体デバイスの設計開発を行う。関連の技術者として、製造に使用する装置の開発を行ったり、半導体に使用する材料の開発を行う者もいる。
半導体技術者には、半導体の製造工程について設計・構築、品質の向上、歩留まりの改善等を行うプロセスエンジニアと、半導体デバイス(マイコン、センサー、メモリー等)の回路設計、レイアウト、検証をする設計エンジニアがいる。半導体にはトランジスターやダイオードなどの単機能デバイス(ディスクリート半導体)と、複数のトランジスターなどで構成されるIC(集積回路)がある。ICはレガシー半導体から先端半導体まであるが、現在、いたる所で使われている。スマートフォンに高密度で組み込まれ、自動車でも多くの半導体が使われている。近年はAI(人工知能)のために膨大なデータ処理を行うデータセンター向けに、最先端プロセスで微細化された高性能LSI(大規模集積回路)が大量に使われている。
これまでインテルなど企業ごとに半導体(CPU)を設計し、製造をしていたが(垂直統合)、今日、超微細化、高性能化が進んだ先端プロセスで製造されるLSI(AIのためのGPU等)では、半導体の開発設計のみを行うファブレス企業(NVIDIA他)、その設計情報に基づき製造を専門に行うファウンダリー(TSMC他)、また、半導体製造の後工程を専門に行うOSAT(ASEやAmkor)が分業し、製造が行われている(水平分業)。一方、日本国内において、ソニーはイメージセンサーを自社で設計と製造の双方を行っている。また、フラッシュメモリーの設計・開発と製造を行っているキオクシア、自動車のマイコンを開発、製造しているルネサスエレクトロニクスもあり、パワー半導体では三菱電機、富士電機等が開発と製造を行っている。
プロセスエンジニアは半導体デバイスの製造工程の設計・構築、品質の向上、歩留まりの改善、製造設備の選択やメンテナンス、効率的な量産に向けた検討等を行っている。半導体製造の総工程数は400~600工程もある。工程ごとに高度な技術が要求され、それぞれに専門の技術者がいるため、専門性の異なる技術者がそれぞれの知識、技術を持ち寄り、製造工程の設計・構築、改善に取り組む必要がある。
設計エンジニアはデバイス(ロジック、センサー、メモリー、ドライバチップ他)の設計、試作、性能試験を行ない、統計的手法により安定したデバイスを開発している。
現在、半導体産業は日本にとって非常に重要であり、注目されている。半導体といっても先端半導体から従来の半導体(レガシー半導体)まで多岐にわたり、また民生用から車載用、産業機械用、医療用、宇宙用等、様々である。加えて製造装置や検査装置、材料、処理溶剤を扱う多くの企業がサプライチェーンを構築して、巨大な産業複合体となっている。
<就業希望者へのメッセージ>
半導体産業は設計、製造、装置、材料、検査などと幅広い技術領域を経験することができます。ファブレス企業では生産工場を保有せずに様々なデバイスを開発でき、工場では世界最先端のものづくりに携われます。半導体は全ての産業の元となる部品であるため、エンジニアにとっては夢のような業態であると思います。(半導体エンジニア)
◇よく使う道具、機材、情報技術等
各種半導体製造装置、各種計測機器や検査装置、設計や検証を行う各種ソフトウェア(設計、シミュレーション、データ解析、品質管理等)、クリーンルームで使用する白衣・帽子・手袋・マスク
入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされないが、大学・大学院卒が多く、高専卒のエンジニアもいる。専攻は機械・電気・電子工学等が多いが、半導体製造には様々な分野の知識が必要であり、化学や物理の人もいる。中途採用は半導体開発の経験者がほとんどである。
入職後はOJTで経験を積み、個々の専門分野の知識、技術を深めていくことになるが、半導体技術者として一人前とみなされるには10年程度を要する分野もある。
専門分野の知識、技術を熟知していることに加え、半導体に関する最新情報を得る必要がある。また、半導体はグローバルな環境で切磋琢磨している産業であり、英語力も必要となる。設計においても製造においても様々な技術と知識が必要であり、グループやチームで行うことが多く、コミュニケーション能力も求められる。新たな情報に常に関心を持ち、技術の向上を継続することが重要である。半導体の設計や量産化にあたっては顧客との交渉力、顧客へのプレゼンテーション力も必要である。経験を積み、チームリーダーになると統率力や組織管理能力も求められる。
勤務先として、半導体設計会社は都市部に多く、製造や装置のメーカーは郊外に立地している場合が多い。
就業者の比率は男性が多いが、近年女性も増えている。ほとんどが正社員である。協力会社と共同で開発等にあたることもあるが、その場合も協力会社の正社員が多い。就業者の年齢構成は高齢化が進んでおり30代から40代が少ないが、近年、若者の就職が増えている。
賃金、労働時間等労働条件は勤務先の規定による。フレックスタイム制を採用している企業が多い。土日休みの週休2日制であるが、生産立ち上げの期限が近づくと残業が多くなる。海外も含め転勤が多い会社もある。
半導体の製造では目に見えないチリ、ホコリが不良の原因となるため、製造工程はクリーンルームの中となる。プロセスエンジニアも現場に行く場合は、ホコリが出にくいナイロン製の白衣に着替え、帽子・手袋・マスクを着用し、靴も履き替え、エアシャワーを浴びてからクリーンルームに入室する。クリーンルーム内の温度、湿度は品質管理上、温度25℃、湿度50%等に常時保たれている。近年はウェーハをカセットに入れSMIFで搬送し、局所クリーンとしている工場も多い。
日本の半導体は1980年代には世界での市場シェアが50%を超えていたが、現在は市場シェアが大幅に低下し、国内の半導体メーカーも減少している。ただし、一部の半導体、例えば、自動車向けのマイコン、大電力を制御するパワー半導体、画像イメージセンサーなどは世界的に高いシェアを維持している。これらは現在、急激に進んでいる車の電動化、EV化、自動運転等で重要な役割を果たしている。また、日本には市場シェアが高い半導体製造装置を開発している会社もある。半導体製造に必要となる半導体材料(シリコンウェーハ)、薬剤(エッチング液、フォトレジスト材)、ウェーハのダイシング(ダイサー)、試験装置などで日本は高いシェアを保っている。
業界をまたいで、AI 影響度が同水準の代表職業(規模順)。