麻酔科医とは、主に手術時の麻酔管理を担当し、患者の全身状態を管理する職業です。
麻酔科医は主に手術時の麻酔管理を担当し、患者の全身状態を管理する。麻酔科医の業務は多岐にわたるが、主な仕事の内容について記述する。
まず、手術前に患者の健康状態を診察し、最適な麻酔法を決定する。患者や家族に麻酔方法や合併症について説明し、同意を得る(インフォームド・コンセント)。手術当日は、全身麻酔の場合には麻酔薬の投与により麻酔導入後、気道確保、人工呼吸を開始する。手術中は、生体情報モニターを用いて患者の呼吸、循環、体温などを継続的に監視し、必要に応じて麻酔深度の調整や輸液、輸血などの処置を行う。
手術終了後は、麻酔からの覚醒を確認し、疼痛管理(術後の痛み管理)や合併症予防のための指示を出す。術後回診では、患者の回復状態を確認し、必要に応じて痛みの管理や合併症対策を行う。
麻酔科医は手術室だけでなく、集中治療室(ICU)での重症患者管理や、ペインクリニックや緩和ケアにおける痛みの治療にも携わることがある。また、緊急手術や分娩時の麻酔対応のため、夜間や休日の待機も必要となる。
病院規模や専門性によって業務内容は若干異なる。大学病院や大規模総合病院では、心臓麻酔、小児麻酔、産科麻酔などの専門性の高い麻酔を担当することが多い。一方、中小規模の病院では、より幅広い症例に対応することが求められる。
麻酔科医の中には、他の診療科から転向して修練する医師もいる。
◇よく使う道具、機材、情報技術等
麻酔器、生体情報モニター、喉頭鏡、超音波診断装置、人工呼吸器
麻酔科医として働くためには、まず大学医学部(6年間)を卒業し、医師国家試験に合格して医師免許を取得する必要がある。臨床研修病院において、2年以上の臨床研修を修了することに加え、麻酔科を標榜する場合には、①麻酔の実施に関して十分な修練を行うことのできる病院等において2年以上修練を行う(基準Ⅰ)、または、②2年以上麻酔の業務に従事し、かつ、麻酔の実施を主に担当する医師として気管挿管による全身麻酔300症例以上の実施を経験する(基準Ⅱ)と、審査の上で厚生労働大臣の麻酔科標榜許可を受ける必要がある。また、日本専門医機構が定める4年間の麻酔科専門研修プログラムの研修と日本麻酔科学会の認定試験合格で麻酔科専門医が取得できる。麻酔科専門医取得後5年で更新し、麻酔科指導医を書類申請で取得できる。
自己研修としては、学会や雑誌での研究発表や学会主催の症例検討会や研修に参加し、新薬の知識や医療技術を学んだり、各学会認定の麻酔科の専門医として心臓血管麻酔専門医、小児麻酔認定医、区域麻酔認定医、集中治療の専門医(サブスペシャルティ)などがある。
大学病院に勤務する場合には例えば、助教、講師、准教授、教授などの役職に就くこととなる。一般病院に勤務する場合は、例えば、麻酔科副部長、麻酔科部長、副院長、病院長など、病院の定める役職に就くこととなる。
麻酔科医は、麻酔科学、生理学、薬理学に関する専門知識が求められ、心臓血管麻酔、産科麻酔、小児麻酔といった専門分野以外にも呼吸器外科、脳神経外科の麻酔など幅広い経験の積み重ねが求められる。
麻酔科医には、緊急時に何が起きているか素早く判断する的確な臨床推論と手際よく素早い実行力が必要とされる。また、不安な状況の患者との信頼関係を構築し、術後も患者に寄り添う。手術中は外科医や看護師とも良好なコミュニケーションを取る必要があることから、共感性や対人スキルも必要とされている。
主な勤務先は麻酔科があり外科手術を行う比較的大きな病院である。手術があれば麻酔科のない病院で勤務することもある。緩和ケア、ペインクリニックなども麻酔科医を求めている。
麻酔科医の人数は10,350人であり、このうち94.8%が病院勤務である。また、女性医師の割合は4割程度となっている。また、女性医師の割合は4割程度となっている。(厚労省の令和4年医師・歯科医師・薬剤師調査の「主たる診療科、施設の種別にみた医療施設に従事する医師数」)
麻酔科医を必要とする手術の多くは日中に計画的に設定されているため定時勤務が多く、早番や遅番などの交代制勤務体制もあることから比較的勤務時間の調整がしやすい。
就業形態としては、正規職員が主であるが、これ以外に、契約職員、アルバイト、派遣労働、自営でのオフィス開業などがある。麻酔科医専門の派遣事務所に所属してアルバイトや派遣労働だけで働く場合もあるが、専門医の認定条件では週3回は同じ病院に勤務する必要がある。
当番医以外は定時の勤務となっているが、手術によっては勤務時間が伸びることもある。
麻酔科医の数は多くなってきているが、業務の幅も広がり、医療現場での負担が増えている。改善策の一つとして、看護師の特定行為として術中麻酔補助行為が認められ、術中特定行為プログラムを看護師が受講しているが、看護師も不足し多忙のため、現状では術中麻酔へのタスクシフトは当初期待されたほどは広がっていない。
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