診療情報管理士とは、診療録を点検・保管・管理し、そこから精度の高いデータ、情報を収集、加工、分析し、必要な情報提供をする職業です。
医療施設には、医師の書いた診療録(カルテ)、看護記録及び各種検査記録など、患者に行った医療内容を一定期間保存しなければならない法律上の義務がある。診療情報管理士はそうした情報を点検・保管・管理し、情報を収集、加工、分析し、必要な情報提供を行う。病院によっては「診療録管理士」とも呼ばれる。
診療情報管理士の重要な業務の一つに、診療録に記載された病名、手術の術式、各種処置をコーディングする業務がある。病名はWHOの国際疾病分類に基づくコーディングを行っている。コーディングされたデータは、診療報酬支払制度にも活用されている。
患者の要請によるカルテ開示業務についても診療情報管理士が関与している。
カルテの電子化により、コンピュータ技術を活用した記録の情報化、情報の精度管理が行われている。業務のデジタル化が進む中で、的確な情報のチェック・管理体制は重要であり、特に診療報酬上での「診療録管理体制加算」の導入は、診療情報の管理が前提となっている。
◇ よく使う道具、機材、情報技術等
パソコン
入職にあたり、「診療情報管理士」の資格があると仕事に就く上で有利である。
資格は一般社団法人日本病院会が指定する大学又は専門学校を卒業するか、同法人が実施している通信教育を受け、認定試験に合格すると取得できる。
病院の中で医師、看護師、薬剤師、検査技師などの専門職と直接かかわるため、事務的能力のほかに診療録の内容を理解するために必要な医学知識や、診療録から作成される様々な情報を分析・解釈する能力が求められる。また、診療録の内容を読みとれる読解力、書類の記載漏れを点検する綿密さ、記録を整理保管する正確さ、医師や看護師の協力を得ることができる協調性、情報管理にあたる責任感なども重要である。
更に、医学や関係技術の進歩に遅れないよう勉強し、英語や医学用語のまじった診療録の内容を正しく理解する能力も必要とされる。
我が国の病院の診療情報管理レベルは、病院の規模・経営主体などにより大きな差があるのが現状であるが、医療の高度化や医療機関の社会的責任に対応するため、資格取得後の専門的能力の向上の環境も整備されつつあり、診療情報管理士指導者の認定なども進められている。
診療情報管理士の多くは総合病院で働いている。
労働時間・休日・給与など労働条件は病院事務職員と同じ場合が多く、一般的に夜間勤務はない。就業場所は診療録管理室、病歴・図書室、診療情報管理部門などであるが、事務部門の医療情報課や医事課などで働く場合もある。
診療情報管理士として認定団体等に認定されているのは48,595人である(2025年時点*)。
がん登録推進法、医療事故調査などの制度への対応の中でも、診療情報管理士の活躍が期待される。
*一般社団法人日本病院会、ホームページより
業界をまたいで、AI 影響度が同水準の代表職業(規模順)。